ザグレブには、独自のシュニッツェルもあります!

05.04.2018

確かに、似たような料理は至る所に存在します。しかし、私たちはそれでも誇りを持って、この神から与えられた小さな薄切り肉を材料とする料理をザグレブ・シュニッツェルと呼びます。

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かつて、私たちは巨大で、なおかつ長期にわたって存在したハプスブルク帝国の支配を受けていました。その時代においては、ウィーンが帝国全体の首都であり、帝国内に存在するその他すべての都市はウィーンに従属していました。ええ、ザグレブももちろんそうでした。そのため、ザグレブはかつてオーストリアの影響を強く受けていました。そうした影響は現在でも、ザグレブにおいては色濃く残っています。過去の時代、わけてもブルジョワ階層にとっての黄金期であった19世紀には、ザグレブは「小さなウィーン」というあだ名で呼ばれてさえいました。ザグレブでは、オーストリアの首都で生み出された料理や調理方法の多くがそのまま受け入れられるとともに、地元に合う形にアレンジされながら受容され、模倣されました。それらの事実に鑑みれば、私たちがかつてウィーンから受容した料理の一つが現在も存在するという事実を知ることは、非常に興味深いと言えるでしょう。しかし、私たちはその料理に手を加え、究極の一品に仕上げました。その料理は、ウィーンで食べられている子牛肉のカツレツ、つまりウィンナー・シュニッツェルのように世界中で認知されてはいません。しかし、皆様がザグレブで出される子牛のカツレツ、すなわちザグレブ・シュニッツェルを食べれば。その美味しさに驚きと喜びを覚えるでしょう。

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私たちは皆、ウィーンで出されるよく似た食べ物ないしはザグレブ・シュニッツェルのもととなった料理が、パン粉をまぶしてフライパンで揚げた子牛のカツレツであることを知っています。皆さんは、そのカツレツが薄くスライスされた一切れのレモンと一般的な付け合せであるマッシュ・ポテトかフライド・ポテトとともに食卓に出される光景を目にするでしょう。それは、あらゆる年代の人に愛され、誰もが安心して食べることのできる伝統的な料理です。しかし、ウィンナー・シュニッツェルはそれほど古い食べ物ではありません。ウィンナー・シュニッツェルという単語が文書の中で初めて登場したのは、1831年の事でした。さらに言えば、私たちは、かつてのウィーンの料理人たちが特別才気に富み、独創的であったと言うことはできません。というのも、これと似たような料理がヨーロッパ内の多くの地域に存在しているからです。実際に、パン粉をまぶして揚げたカツレツという料理の概念を独占的に所有することができる民族は存在しないのです。というのも、その種の料理はあらゆる地域に存在するからです。

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皆さんがハムとチーズの薄切りを一枚ずつ子牛肉のカツレツに加えれば、ザグレブ風カツレツが出来上がります。ザグレブ風カツレツは、ハムとチーズが加えられることによって、味という観点においても、カロリー計算という視点から見ても、他の地域で見られる子牛肉のカツレツとはまったく別の料理となります。私たち独自の子牛肉のカツレツとは、通常子牛の肉にパン粉をまぶして油で揚げたものを指すのであって、パン粉をまぶさずに油で揚げたものでは決してありません。その点で、ザグレブ風のカツレツは、それとよく似ているスイス発祥の有名な料理である「コルドン・ブルー」とは異なります。もちろん、ザグレブ風カツレツに使われる薄切りのハムとチーズも高品質でなくてはなりません。そして、チーズは溶けやすく、皆様が初めてカツレツにナイフを入れる際に、食欲を抑えきれずに涎を垂らす光景を作り出すものでなくてはならないのです。肉にチーズとハムを巻いた際には、溶き卵にくぐらせ、パン粉をまぶす前に、肉を転がしたり、折りたたんだりして結構です。ザグレブ風カツレツを作る際に、豚肉や七面鳥の肉を使ってはいけないという法律はありません。しかし、それらの肉で作ったものは、子牛の肉で作った正真正銘のザグレブ風カツレツよりも味が落ちるでしょう。一般的には、家族全員が集まる伝統的な昼食会が行われる際に、ザグレブ風カツレツが豆を混ぜたお米とともに食卓に上ります。しかし、皆様はこの組み合わせを一般的なレストランや食堂で見かけることはめったにないでしょう。

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 悲しい現実ではありますが、レストランのメニューをめくっていると、ウィンナー・シュニッツェルを出す店の方がザグレブ・シュニッツェルを出す店よりも多いという現実に気付くかもしれません。なぜ、外国人に私たちの美味しい郷土料理を出さないのでしょうか?それは、ウィンナー・シュニッツェルの方が世界的に見ればはるかに有名であるからだけではありません。私たちは、ウィンナー・シュニッツェルを調理する方がいくぶん材料費を抑えられ、またその調理方法もより簡単であるという事実を認めざるを得ず、そのことも上記のような状況が生み出される今一つの要因となっているのです。そして、レストランでザグレブ・シュニッツェルを食べられないという事態がたびたび起こっています。でも、心配ご無用です。ザグレブ・シュニッツェルはちゃんとありますし、皆様はそれを簡単に発見することができます。ザグレブの伝統的な肉料理を提供するレストランに行けば、間違いなくザグレブ・シュニッツェルを食べることが可能です。その店名を多少あげておきましょう。オクルグリャク、ゼレン・ドヴォル、プリ・ズヴォンツ、プルゲルなどなど。ザグレブのダウンタウンには、ヴィノドルという人気のレストランがあります。このレストランは、新鮮なジャガイモ、ビートとセロリのサラダと一緒にザグレブ・シュニッツェルを出してくれます。街の郊外のレストランに関しては、サモボルにあるガブレク1929やヴェリコ・トゥルゴヴィシュチェにあるリビッチの2つを紹介することができます。リビッチは、伝説的な50cmもあるザグレブ風カツレツを出したことで有名になりました。

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そして、もし皆様が人生において子牛の肉のカツレツを作る機会があったら、ハムとチーズを加えてください。そうすれば、絶対によりおいしいカツレツができあがります。大きさも重要ですが、一番重要なのは材料のバランスと調理する際の手際の良さです。覚えておいてください。確かに、似たような料理は至る所に存在します。しかし、私たちはそれでも誇りを持って、この神から与えられた小さな薄切り肉を材料とする料理をザグレブ・シュニッツェルと呼びます。