ザグレブの街を散策し、そこにある歴史的記念物を見て回り、街にある芸術のコレクションについて知れば、あなたはザグレブの素晴らしさに驚くでしょう。他方でまた、もしザグレブ市内にあるどこかひとつのカフェに座り、通りや公園を散歩するか人々と会話を交わせば、あなたはザグレブの街を好きになるでしょう。そして、まさにはじめてザグレブを訪れた時に、あなたはザグレブの街に一目ぼれし、そうした愛情は人々との交流が深まり、友人が多くできるにつれて、一層深まることを知るでしょう。
ザグレブ、より詳しく言えば、そこにある通りと歴史的記念物には1000年の歴史があります。しかし、ザグレブに最も大きな価値をもたらしているのは、街が私たちに与えてくれるこの瞬間、街の美しさ、ならびに私たちと共有している街の個性です。そして、街は私たちに非常に大きな喜びを付与してくれる存在であり、街をヨーロッパにおける芸術の都市の一員とさせた価値を有する街への愛情を抱かせ、また私たちの精神が宿る遺産が持つ特色の源泉となっている豊かさを私たちに与えてくれます。
もしあなたが経験上、鉄道駅は陰鬱であるというイメージを抱いていたとしたら、今すぐザグレブのためにそうしたイメージを改めるか、少なくともそれは例外であると認識してください。2つの広場、つまりスタルチェヴィチ広場とトミスラヴ広場は、まさに公園という異名を持つにふさわしく、そこではとてもきれいな花が咲き乱れ、噴水が設置されています。
休憩をとるための場所か何らかの目的を持って訪れる場所か、自然について学習する場所か人知れず静かに読書する場所か・・・。これらの目的をすべて果たせる場所が植物園です。この植物園は、今一つの公園が密集する地域と接し、街の中心部にありますが、そこの空気と雰囲気は街の生活リズムからはかけ離れています。特にあなたが植物学者でなければ、そこにある植物がどのような気候の地域から持ち込まれ、どこに自生しているかを言い当てるのは難しいです。また、一般論として、人々が植物園に集められる花を選ぶのか、それとも逆にそこにある植物によって、そこを訪れる人々を選ぶのでしょうか?
数ある街の象徴の中から、どれかひとつだけ選ぶように言われたら、他に選択肢はありません。それは、もちろんクロアチア国立劇場です。夜になると、劇場では夢と現実が混じりあった劇が幕を開けます。その現実の世界では、私たちをどこか別の時代や世界へといざなう芸術的な光景が繰り広げられます。そして、オーストリア皇帝であるフランツ・ヨーゼフがハンマーを叩き、「上演開始!」の合図を出したまさに1895年からそうした光景が見られるようになりました。クロアチア国立劇場では、6人の日本人バレリーナが活動しています。
イリツァは、ザグレブの背骨です。あなたは数㎞離れた位置や交差点、ほかの場所やザグレブの施設からイリツァを眺めることができます。あなたは、一度として人通りのないイリツァを目にしたことはないでしょう。イリツァでは、通行人、書類かばんを手にした仕事にいそしむ人々、明確な目的を持ってお店のショーウィンドーに見入っている女友達たちがいて、夜間に運行される市電が走る光景が繰り広げられています。ザクレブで一番長い通りであるイリツァでは、そこだけで100の物語があります。
ゆっくりと・・・たち止まり、通行人とおしゃべりし、コーヒーを一杯飲んでから、先へと進みましょう。約束と約束の合間には、ザグレブの通りにあるカフェや歩行者ゾーンの人通りが少なくて落ち着けるところで友人を待つか、ただ通行人の顔の表情を観察してみましょう。そうすれば、人々がザグレブを心の暖かい人々が住む街と呼ぶ理由を見出だすでしょう。
もしあなたが、街の本当の姿を知りたいと思うのであれば、そこにある市場へと出掛けてください。色とりどりのパラソル、売り台に並べられている品物の豊富さ、自分の出身地の色鮮やかな衣装を来た店員は、「街の胃袋」、つまり街の中心部に位置し、ザクレブ最大の市場であるドラツにおける雰囲気の特徴です。遺伝子組み換え食品に出会う心配は全くありません。昔からある果樹園で熟した果物の香りを感じ、魚屋では海のにおいをかぎ、小枝の花を買いましょう。また、旅の思い出に小さな木馬や手編みのブラウスなどを購入しましょう。