ゆったりとした空間における文化

ザグレブはすべての出版物の中で、必ず最も大きなゆったりとくつろげる空間を持つ街として紹介されています。春の初めに太陽が昇ると、すぐにカフェ、コーヒーハウス、レストランおよびケーキ屋のテラス席がお客のために開放されます。通りや広場は、人々が散策し、コーヒーを飲みながら談笑する、または人びとが集い、そして商談を行う場所です。ほかに例を見ない地中海的な優しさと大陸的な勤勉さは訪れる人々を魅了し、そうした通りや広場における光景はまるで誰もが顔見知りであるかのようです。伝統的な国際フォークロアの日、国際的な通りでの祝祭であるCest is d’Best、野外コンサート、聖マルティンの祝日、さらには不定期に開催されるさまざまな見本市は、通りでの人々の集いをさらに実りあるものにします。今日のカフェにおける人々の交流は、この街で長きにわたり育まれた豊かなカフェ文化の伝統に根差したものです。

レヌチの蹄鉄と中心部にある広場は、かつてはザグレブにおける社交生活にとっての重要な場所でした。その領域は、今日中心部全域および歩行者ゾーンにまで広がり、場所によっては歩行者ゾーンよりも先に広がっています。そこでは、いつでも何らかの興味深い発見があります。日常会話の中ではただ広場とだけ呼ばれているイェラチッチ広場周辺にあるカフェには、著名な人物がお客としてやってきます。建設された当初から花の広場として知られていたプレラドヴィッチ広場は、芸術家や若者、それに中年層の人々に愛されています。かつてグラデツとカプトル地区を分断し、多数の居酒屋と売春宿があったトカルチッチ広場は、現在では人々が集まり、そして家族全員で滞在できるおしゃれな場所です。

もしあなたが人よりもロマンチックな精神の持ち主であれば、イリツァでウスピニャツァに乗ることをおすすめします。これは、公共交通機関の中では世界一短い路線を走るケーブルカーで、これに乗れば、55秒でアッパータウンに着きます。アッパータウンにあるケーブルカーの終着駅は、今まで述べられてきたすべての場所を一望できる場所で、いわゆる頂上と呼ばれています。毎週土曜日のお昼頃になると、すべての大人たちが街の中心部へとやってきます。その時間帯と場所は、一見に値します。彼らの時間の過ごし方はいつも同じです。つまり、一杯のコーヒーを飲み、土曜日販の新聞を読み、新鮮な食料品を手に入れるためにドラツに行き、それらの日課がすべて終了した後に、ゆっくりと帰宅して昼食の準備をします。ザグレブを構成する各区域には、人が集まる特別な場所があります。誰かに呼ばれていると感じて、そこに行ってみてください。そうすれば、そこではすべての人々があなたの名前を知ることになるでしょう。


ゆっくりと・・・たち止まり、通行人とおしゃべりし、コーヒーを一杯飲んでから、先へと進みましょう。約束と約束の合間には、ザグレブの通りにあるカフェや歩行者ゾーンの人通りが少なくて落ち着けるところで友人を待つか、ただ通行人の顔の表情を観察してみましょう。そうすれば、人々がザグレブを心の暖かい人々が住む街と呼ぶ理由を見出だすでしょう。